インサイドセールスでどんなKPIを設定するべき?重要性や4つのポイントも解説
インサイドセールスを実施する上で欠かせないKPI(重要業績評価指標)の設定。どう設定したら良いのかわからず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、インサイドセールスでどのようなKPIを設定し、どのように改善を進めていくべきか、具体的なプロセスを紹介。新規開拓型と反響型の2つのタイプ別に設定ポイントや改善ポイントを解説します。
なお、インサイドセールスに本格的に取り組んでいきたい方向けに、無料の解説資料を用意しています。お気軽にダウンロードしてご覧ください。
目次
インサイドセールスとは
画像出典:営業ラボ
インサイドセールスとは「見込み顧客(以下リード)に対して非対面で行う営業活動」のことです。新規開拓型(BDR)と反響型(SDR)に分類されます。
顧客と商談を行い、成約を目指すフィールドセールスと異なり、インサイドセールスではメールや電話などを使って商談獲得を目指すのが目的です。インサイドセールスチーム側でリードの質を評価し、適切なタイミングでフィールドセールスチームへ引き継ぎます。
新規開拓型(BDR)のインサイドセールス
新規開拓型のインサイドセールス(Business Development Representative・BDR)とは、自社の方から企業にアプローチを行い、商品やサービスの認知向上や商談機会を獲得することです。
BDRの主な手段は、特定のターゲット市場や潜在顧客へのダイレクトメール(DM)の送信や電話です。自社を知らない企業に、直接声をかけることで自社の存在を認知してもらい、サービスに関心を向けてもらうことを目指します。そのため、BDRは、新しい顧客を開拓し、市場の拡大を目指す際に選択されます。
BDRは、自社が狙いたい顧客を開拓できるメリットがある一方で、営業の難易度がやや高いのが特徴です。傾向を整理すると以下のとおりです。
新規開拓型のインサイドセールス(BDR)の特徴
- 顧客がそもそも自社に興味を持っていないケースが多い
- 自社も顧客の情報をさほど持っていない場合もある
- マッチングがしづらく、なかなか決裁者や担当者の興味を引き出すのが難しい
前提情報があまりない状態からスタートするため、初期のコミュニケーションでは、顧客のニーズや関心の把握と、それに合わせた提案を行うことが求められます。商談につなぐためにも、コンタクト前に市場全体の状況や競合他社の動きを調べておくなど、ターゲット顧客に適したアプローチをとれるよう準備しておきましょう。
反響型(SDR)のインサイドセールス
反響型のインサイドセールス(Sales Development Representative・SDR)とは、顧客からの問い合わせや資料請求をもとにインサイドセールス活動を行うことです。
SDRには以下のような特徴があります。
反響型のインサイドセールス(BDR)の特徴
- 顧客は、あらかじめ自社に対して、ある程度の興味や関心を持っている状態
- 自社も顧客の情報をある程度持つことができるため、相手のニーズがわかる
- ニーズをもとにしたソリューションの提案ができるため、商談につなげやすい
顧客のニーズに沿える分、SDRは商談獲得率が高くなりやすいですが、一方で、BDRほど営業対象の顧客数を増やせない弱点があります。反対に営業対象の顧客数が想定より多い場合は、限られた営業リソースを効率よく分配するため、商談化の可能性が高い顧客に絞り込んだアプローチを行うのが重要です。
インサイドセールスの詳しい手段や考え方は、YouTubeチャンネル「ナイルTV」でも紹介しています。以下からぜひご覧ください。
なお「BDR」「SDR」という言葉はよく似ているので区別がしづらいと感じたときは、BDRを「飛び込み型・プッシュ型」、SDRを「待ち受け型・プル型」と考えるとわかりやすいでしょう。
インサイドセールスにおけるKPIの重要性
インサイドセールスでは、KPIの設定が重要です。なぜなら、KPIの設定ができていないと、商談獲得の目標に向けた進捗確認や健全性の評価、問題箇所の特定などができなくなってしまうからです。
例えば、商談獲得数が悪かったとします。このとき、KPIの設定や管理ができていれば「顧客へのアプローチ数が足りないのが問題なのか」「インサイドセールス後の商談化に苦戦しているのか」といった区別を正しく行えるので、適切な対策が検討可能です。
しかし、KPIの設定や管理ができていないと対策の検討が当てずっぽうになり、適切な対応が困難です。結果、インサイドセールスの効果も向上できず、フィールドセールスに商談を供給できなくなってしまう可能性が高まります。
もちろん、KPIを設定しておくことによるプラス効果もあります。KPIがあれば、インサイドセールスチームの目標に対する進捗確認や、実行しているアクションの妥当性の検証が可能です。そのため、メンバーも迷わず仕事に励めるほか、マネージャー側としても公正な評価が可能になるなど、チームとしての成長にも大きく役立ちます。
具体的なKPIの考え方や立て方は、以下のリンク先の資料で詳しく解説しています。お気軽にダウンロードの上、ご活用ください。
新規開拓型(BDR)のインサイドセールスで設定すべきKPI
インサイドセールスは、直接的な売り上げを上げるポジションではないので、KPIをどこに置くかは重要でありながらも判断が難しい課題です。そこでここからは、新規開拓型インサイドセールスで設定する具体的なKPI項目を紹介します。
まずはBDRの項目について、以下順番に見ていきましょう。
ターゲットリスト数
BDRでまず追いかけておきたいのが「ターゲットリスト数」、つまりアプローチする企業の数です。
ターゲットリスト数は、いわば営業の母数です。母数がそもそも少なければ、商談数も減ってしまいます。営業活動の効率と成果に直結するため、必要十分に確保できているか、常に注視しましょう。
なお、ターゲットリストは「顧客リスト」とは異なるため注意が必要です。手元の顧客リストの中から、「自社のサービスや製品を必要とし、提案に価値を見出してくれそうな企業や個人」を見極め、厳選したのがターゲットリストです。
特に、BDRで法人向けに実施する場合、アプローチをかける対象者は、決裁権を持つ役職者や、自社サービスに関心を持ちそうな人物に絞られます。顧客リストが多くても、絞っていった結果、意外とターゲットが多くなかったというケースも想定されます。
そのため、顧客リストにどれだけのターゲットが含まれるのか(ターゲット対象率)もセットで見ておくことをおすすめします。
アプローチ数
アプローチ数とは、ターゲットに対して行った電話やメールなどの接触回数のことです。BDRでは、架電数やメール・メッセージなどの送信数がKPIとして設定されます。
ターゲットリストがいくらあっても、アプローチをしなければ商談の機会は増やせません。アプローチ数もKPIとして管理を行い、より多くの顧客と接触できるようにしましょう。
なお、BDRでは、ターゲットリスト化時点で、意中の担当者や決済者の電話番号やメールアドレスが取得できていない場合があります。こうした場合は、電話やメールの代わりにチラシを郵送するなど、状況に応じたアプローチ変更を検討します。
アプローチの方法は1つとは限りません。ターゲットの特性やリストの質に応じて柔軟に調整するのがおすすめです。
接続数/接続率
BDRにおける「接続数」とは、ターゲットと実際に連絡が取れた回数のことです。具体的には、電話による着電数(電話がつながった件数)や、ダイレクトメール(DM)への返信数などが該当します。また、この接続数を、架電数やメールの配信数で割った数字が「接続率」です。
接続数や接続率は、ターゲットリストの品質や、アプローチの方法によって大きく上下します。アプローチ相手やアプローチ方法が適切であれば数字は良くなりますし、その逆だと低くなってしまいます。つまり、実施しているBDR型のインサイドセールスが妥当かどうかを判断できるKPIとも言えます。
仮に架電の接続数・接続率が悪かったとしたら「架電の時間帯」や「担当者が不在だったときの対応方法」などに課題がないかを検証するなどの対策を検討します。
例えば、なかなかターゲットの外出が多く接続できないのであれば、以下のような施策がおすすめです。
- ターゲットが在席していそうな午前中や夕方以降の時間帯を狙うよう時間帯を変更する
- 不在時に戻りの時間を確認して、その時間に再度架電する
ターゲットの行動パターンを理解し、適切なタイミングでアプローチできるよう調整することで、BDRでも接続数・接続率を高めることができます。
有効リード獲得数
有効リード獲得数とは、BDRを経て、商談化の見込みが高いリードをどれだけ獲得できたかの指標のことです。商談化の見込みが高いリードとは、具体的には「単に連絡先を持っているだけではなく、顧客が自社の提案やサービスに興味を持ち、話を聞いてくれる状態のリード」を指します。
有効リード獲得数は、インサイドセールスにおいては特に重要な指標です。いかに有効リード数を獲得できるかによって、このあとの有効商談数や受注数が変動します。そのため、BDRでは、この有効リード獲得数をいかに増やすかが大切です。思うように数字を伸ばせないのであれば、営業方法やリストを見直し、改善する必要があります。
なお、リード獲得のプロセスやその意味について詳しく知りたい方は、こちらの記事を御覧ください。リード獲得の基本から効果的な方法まで詳しく解説しています。
商談化数・有効商談数
商談化数とは、商談のアポイントメントを獲得できた数のことです。有効リード獲得とは違い「実際に商談する機会を得た状態」を指します。一方で「有効商談数」とは、実際に行われた商談の中で、受注の見込みを確認できた数のことです。単に商談の機会を設けただけではなく、実際に成果につながる可能性が高いところまで話を進められているかを示します。
商談化はインサイドセールスのゴールとされる場合が多く、商談化がされたタイミングでフィールドセールスにバトンを引き継ぐケースがよくあります。そのため、特に重要なKPIとして扱われます。
なお、KPI管理上、注意したいのが「商談のキャンセル」です。商談を設定できたと思ったらキャンセルされるケースも珍しくありません。アポイントメントに対し、実際に商談がどれだけ行われたかの「商談化率」もあわせて把握しておきましょう。
商談化率が高ければ、リードとうまく関係を結んでいて刺さるアプローチを効率的に行えている証拠です。各数値を重要指標として計測し、より効果的な営業活動に活かすようにしてください。
受注数/受注率
受注数・受注率(クロージング)とは、文字通り、商談から受注に至った数やその確率のことです。
受注数は、一定期間内に成立した販売契約の総数を指し、受注率は提案や商談が実際に受注に至る割合(商談化数÷受注数×100)を示します。場合によっては、既存顧客のアップセルや契約継続、新規顧客の受注をカウントする場合もあります。
主にフィールドセールスが担う領域ですが、インサイドセールス側でもKPIとして設定しておくことが多いです。なぜなら、どのようなリードと関係を構築し、アポイントメントを獲得すれば、受注確率が高まるのかを考られるからです。
繰り返しお伝えしているように、インサイドセールスの成功には、ターゲットの選定やアプローチの方法、そして提案内容の質が大きく影響します。適切なターゲットにベストなタイミングで、価値のある提案ができると、受注に直結しやすくなります。
受注率を向上させるためにも、ターゲットリストの作成段階から顧客のニーズや関心を深く理解するよう努め、各プロセスを改善するようにしましょう。
反響型(SDR)のインサイドセールスで設定すべきKPI
次に反響型(SDR)のインサイドセールスで設定するKPIを解説します。以下の順に詳しく見ていきましょう。
フォローアップ数
フォローアップ数とは、リード顧客に対してインサイドセールスが電話やメールで接触した回数のことです。問い合わせフォームを受領した翌営業日など、タイミングを決めた上で、自社側から電話やメールで連絡をする形で進められます。
BDRの「アプローチ数」が近いですが、SDRのフォローアップは、あくまで顧客からのコンタクトが起点であるのが特徴です。そのため、BDRのような一方的な架電・メール送付ではなく、顧客の反応やニーズに応じて適切な方法を選んで行うのが一般的です。
例えば、連絡手段の観点で言うと、リード化の時点で、顧客から悩みや希望するコンタクト方法を聞き出しておき、それにそって電話やメールなどを使い分けてコンタクトを取ることが考えられます。
適切なタイミングで丁寧なフォローアップができれば、顧客との信頼関係を築き、商談や受注につなげやすくなります。こちらの記事も参考に、フォローアップをKPI管理しつつ実施するようにしましょう。
コネクト数
コネクト数とは、BDRでいう「接続数」のことです。フォローアップの結果、見込み顧客と実際にコミュニケーションが取れた回数をコネクト数1と計算します。具体的には、架電なら顧客との通話が実際に成立した回数、メールやSMSの場合は送信したメッセージが開封された回数で確認します。
例えば、架電で連絡をとる場合、BDRでは一般的な感覚で時間やタイミングをはかる必要があります。しかしSDRの場合は、事前に時間帯や曜日など顧客の希望をもとにコンタクトができるため、BDRよりもスムーズにやりとりを進めることが可能です。
コネクト数を増やすためには、リード獲得時に、都合のつきやすい時間や連絡方法などをヒアリングしておけると良いでしょう。
有効会話数
有効会話数とは、見込み顧客とのコネクトが実際に成立し、その顧客の課題感や興味を深くヒアリングできた状態を指します。単に会話が始まったとしても、その内容が浅い、またはすぐに折り返しを求められた場合は、有効会話としてはカウントしません。
有効な会話が成立するかには、顧客の現在の状態や関心度が大きく依存します。例えば情報収集の段階の人に、導入のプロセスの話をしても有効な会話は成立しづらいです。KPIの数字を改善し、商談数・受注数を増やすためにも、顧客の状況や課題意識にあわせた提案を行うことが大切です。
顧客はひとりひとり課題や悩みが異なります。いきなりプレゼンテーションをするのではなく、まずは顧客ごとにどんな課題を抱えているのか、ヒアリングするところから対話を始めると良いでしょう。
商談化数・有効商談化数
SDRにおいても商談化数と有効商談化数は重要な指標です。有効商談化数が高いほど、受注の可能性が増加するので、KPIとして設定し、明確に進捗を追うようにしましょう。
なお、SDRは顧客の状況を踏まえつつアプローチができる分、BDRよりも「有効商談化率」が高くなりやすいです(ナイルの調べでは50〜60%程度)。この数字を大きく下回る場合は、リードの質やアプローチ方法に課題があると考えられます。該当する場合は見直しをおすすめします。
受注数/受注率
受注数と受注率もSDRの重要なKPIです。BDRと同様に、適切なターゲットにベストなタイミングで、価値のある提案を行うことが重要です。
SDRにおいては、インサイドセールスチーム単体だけではなく、マーケティングチームやフィールドセールスチームとも連携を行うなど会社全体のKPIとして追いかけるのがおすすめです。各チーム共同で顧客のニーズ分析や戦略的なターゲット選定を行い、アプローチ方法の検討を行うと、成果も向上が期待できます。
インサイドセールスのKPIを正しく設定する4つのポイント
ここからは、インサイドセールスのKPIを正しく設定するためのポイントを説明します。
インサイドセールスのKPIを正しく設定する4つのポイント
ポイント1 他部署とKPIの内容や目標について合意形成を行う
インサイドセールスの業務を効率的かつ効果的に進めるためには、他部署とのKPIに関する認識を合わせる必要があります。
特に、フィールドセールス部門とは有効商談の定義や条件を明確に合意しておきましょう。なぜなら、どのような商談が目標達成に貢献するかを共有し、理解しておくことで、成約につながる顧客を商談に引き継げるようになるからです。
なお、SDRの場合は、マーケティング部門も交えて有効リードの定義や条件についても合意を取っておくと、全体の目標達成に向けた効率的な取り組みが可能です。
ポイント2 KGIから逆算して設定する
KPIを正しく設定するには、KGI(経営目標達成のための主要な指標)から逆算する必要があります。例えば、KGIで定めた受注数をもとに、必要となる有効商談数や有効リード獲得数などの指標を算出するイメージです。
なお、逆算でKPIを設定するときは、過去の実績をベースに考えるのがおすすめです。過去の受注率や商談化率をもとに、次期の目標値を設定しましょう。
KGI・KPIの設定方法については、こちらの記事も併せてご一読ください。
ポイント3 成果目標から、行動指標を設定する
成果目標としてKPIを定めたら、具体的に達成するための行動指標も決めておきましょう。目標をもとに具体的な行動を設定すれば、メンバーは日々の業務が目標達成にどう貢献しているか理解でき、迷わず目標達成に向けて前進ができるため、モチベーション維持や生産性向上につながります。
例えば、ナイルでは、フォローアップ数のKPI達成のために「1時間に架電した数」などを具体的な行動指標とし、計測しています。
いわば「KPIを達成するためのKPIを設定する」ようなイメージで、具体的で明確な行動指針を定義するのがおすすめです。
ポイント4 実現可能なKPIであるか確認する
設定したKPIが本当に実現できるかも、念頭に置く必要があります。なぜなら、過度に高い目標や負荷の高い行動指標を設定すると、現実性のなさからメンバーのモチベーションが低下し、結果的に目標達成が困難になるリスクがあるためです。
対策として、初めのうちは、チームが容易に達成できる小さな目標からスタートできると理想的です。業務の習熟度合いにあわせて、少しずつ目標を拡大していくと、従業員は達成感を感じやすく、モチベーションの維持につながります。
マネージャーが一方的に決めるのではなく、メンバーも巻き込んで、対話しながら妥当な目標を定めるようにすると良いです。
インサイドセールスのKPIはフェーズによって重要度が変わる
インサイドセールスのKPIはフェーズによって重要度が変わります。以下、立ち上げ初期・中期・後期に分けて、確認しましょう。
立ち上げ初期に注目するべきKPI
インサイドセールスの立ち上げ初期は、どのような顧客が受注につながりやすいのか、判断が難しいです。そのため、アプローチ数や商談獲得率に着目し、多くのアポイントメント獲得を目指しましょう。
狙うべき顧客がよくわからない状態で、アポイントメントの数を絞り込んでしまうと、機会損失のリスクが高まります。初めのうちは数多くアポイントを取り、質の高いリードを絞り込んでいくのがおすすめです。
立ち上げ中期に注目するべきKPI
立ち上げ中期は、ターゲットリスト数やコネクト数に着目します。セールスの履歴をもとに受注しやすい顧客とそうでない顧客とを分け、より受注しやすい顧客にリソースを向けられるよう、営業相手の絞り込みを始めましょう。
具体的には、ホットリードの人数に対し、アポイントメントを何割ほど獲得できるかを徹底的に分析します。より質の高いリードを見極めができれば、効率的な営業活動が可能です。
立ち上げ後期に注目するべきKPI
立ち上げ後期には、受注しやすい顧客がより明確になるため、成約数や有効商談化率を重視します。ナイルの調べでは、見込みの高い顧客に絞ったインサイドセールスによって70%を超える有効商談化率が期待できます。
ただし、70%は無策で達成できる数字ではありません。マーケティングチームとも連携しつつ、質の高いリード獲得やフォローアップの実施から最適化し、受注率のさらなる向上を目指しましょう。
インサイドセールスのKPIを改善する5つのポイント
インサイドセールスのKPIは「一度設定して終わり」ではありません。ある程度のまとまった期間で区切って、KPIを達成できているか、改善点がないかを日々確認しましょう。
特に、インサイドセールスのプロジェクトを始めた当初は、希望的観測も加わって高めにKPIを設定してしまう傾向があります。実際にプロジェクトを走らせてみたら、現実的な数値目標に修正する必要があるかもしれません。週100件程度架電できているチームであれば、毎週KPIを確認するとよいでしょう。
以下、改善する際のポイントを5つにまとめて紹介します。
ポイント1 顧客とのコンタクト数を増やす/タイミングを見直す
インサイドセールスでは、顧客のコンタクト数の確保とタイミングの見直しが成功の鍵です。そもそもコンタクト数が不足していると、十分な商談機会を生み出せずに、結果的に受注数の損失につながります。例えば、週に100件程度の架電ができているチームであれば、その基準を維持または増加を目指し、毎週のKPIを確認して稼働しましょう。
しかし、コンタクト数が多くても顧客との関係構築が不十分な場合、取り組みを見直さなければなりません。検討段階の顧客には、メールマガジンや無料セミナーを通じて定期的に情報を提供するなどして、認知度や購買意欲を高めていきます。
さらに、コンタクトのタイミングにも注意が必要です。一般的には、顧客が電話に出やすい午前中や夕方以降などに架電を集中させると、商談化の成功率が高まると言われます。顧客の業種や職種に応じて、より最適な時間をカスタマイズできると効率が向上するため、おすすめです。
コンタクト数を増やしても、商談数が増加しない場合は、チームの架電スキルのトレーニングや、効率的なコールスケジュールの策定を検討します。架電だけではなく、メールやSNSを活用したアプローチもあわせて考慮できると、より多くの顧客とのコンタクトができるようになり、商談機会を増やせます。
最後に、コンタクトの質も重要です。単に数を増やすだけではなく、各コンタクトで顧客のニーズや関心を深く理解し、それぞれに合ったアプローチを実施します。長期的な視点でより良い関係構築を目指すと、結果として、インサイドセールスの成功につながります。
ポイント2 顧客とのコンタクト内容を見直す
商談アポイントメントの獲得率を向上させるためには、コンタクト内容の日々の見直しと改善が欠かせません。
まず押さえておきたいのが、顧客の話を聞くことです。顧客とコミュニケーションをとる際は、一方的に情報を伝えるのではなく、顧客のニーズや関心を引き出す質問を積極的に挟むようにしましょう。顧客が何に価値を感じ、どのような解決策を求めているのかを理解できると、より効果的な提案が可能になります。
次に、ヒアリングを的確に行えるようになったら、顧客に合わせたソリューションの提案ができるようトレーニングしましょう。成果を出している担当者やフィールドセールスのアプローチを参考に、チーム全体でトークスクリプトや対話スキル、メールテンプレートのブラッシュアップを行うと効果的です。具体的なスクリプトの作成方法はこちらをご参照ください。
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先に顧客の理解に努め、顧客ごとに適した提案を行うことで、商談のアポイントメントの獲得率を高められます。
ポイント3 顧客へのコンタクト方法を見直す
顧客とのコンタクト方法は随時、見直す必要があります。なぜなら、メールや電話、SMSなど、顧客の好みや状況に応じて柔軟に方法を変えることで、より接続数が増やせるからです。
電話がつながらない人に電話をかけ続けても効果は期待できません。メールやSMSに切り替えたほうが接続しやすくなる場合も多いです。BDR・SDR問わず、インサイドセールスの担当者は、常に複数のアプローチ方法を想定し、顧客ごとにもっとも適したパターンで連絡するようにしましょう。
ポイント4 後工程のKPIが最大化するよう行動改善を図る
インサイドセールスの最終目標は受注の最大化です。最終的にフィールドセールス側で受注につながらなければ「成果が出た」とは言えません。目先のKPIを追うあまり、後工程の商談や受注まわりのKPIがおざなりにならないよう注意が必要です。
よくあるのが、ターゲットリストの数だけに注力してしまうケースです。例えばエンタープライズ向けのサービスにも関わらず、個人事業主や零細企業のリストばかりを集めてしまうとミスマッチが起こります。前工程の「リスト数」のKPIは達成されても、後工程の「商談」「受注」のKPIが達成されなくなってしまいます。
後工程のKPIも最大化されるよう、前工程から「質」と「目的」を意識した形でKPI達成するように努めましょう。
良い見込み客を獲得するための方法は、こちらの記事でご確認ください。
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ポイント5 顧客に対して販売する商品が適切か確認する
インサイドセールスで思うようにKPIが達成できない場合、ターゲット顧客と商材がマッチしていない可能性があります。
先ほどの例と同じように、エンタープライズ向けの高機能なITツールを、個人事業主に提案しても、なかなか受注してもらうことは難しいと考えられます。なぜなら、個人事業の規模に対して、エンタープライズ受けの機能はオーバースペックだからです。
「とにかく商談のアポイントメントを獲得する」「とにかくプレゼンテーションする」など、セールスの都合でKPIだけを追求してしまうと顧客はついてきてくれません。
適切でない可能性があると判断した場合は、ほかの商品やサービスに一度切り替えるのも解決策のひとつです。顧客に合った提案を行うと信頼関係の構築ができるため、受注率の向上につながります。
ターゲット顧客と販売する商品がミスマッチではないか、よりターゲットに適したソリューションが提供できないかを常に意識し、必要に応じて調整することでよりインサイドセールスのKPIを達成しやすくなります。
自社のインサイドセールス組織に適切なKPIを設定しよう
インサイドセールスのメリットは、フィールドセールス担当者に橋渡しする「分業体制」を採用し、効率良く営業活動を展開できる点にあります。
リードの獲得から架電などのアプローチ、商談のアポイントメント獲得までをインサイドセールス担当者が行います。
インサイドセールスとフィールドセールスの分業体制をうまく機能させるには、インサイドセールス担当者がリードと丁寧なコミュニケーションを取ることです。リードが、自社に対して信頼感と購買意欲が十分高まるように導くのが使命になります。
自社のインサイドセールス部門の任務を適切に観測できる項目をKPIに選び、検証・改善を図っていきましょう。
インサイドセールス導入に関してお悩みやご質問がありましたら、お気軽にナイルまでご相談ください。
インサイドセールス導入を検討中の方へ
インサイドセールスを無計画にスタートすると、思うような結果が得られないことがあります。導入前に確認すべきポイントを解説した本資料をダウンロードいただき、判断材料としてご活用ください!また社内事情を踏まえた個別具体的なお悩みをご相談されたい方は、無料相談をお申し込みください。予算化前のご相談も大歓迎です!